PEラインを選ぶ時、皆さんは何を重視しますか?
製品パッケージの情報を見比べるだけでワクワクしますよね!
何本撚りか、引っ張り強度、コーティング、カラーリング、価格
メーカーによって様々です。
今回はPEラインを選び方を、本質から解説したいと思います。
そもそもPEラインとは?
繊維を束ねて原糸となり、原糸を編んで一本の糸と成る。
簡単に言えば、繊維の集合体。
PEラインの原料は、東洋紡とオランダのDSM社が開発した超高分子ポリエチレン繊維
商品名はIZANAS@
どのPEラインも、このイザナス繊維から製造されます。
極細のイザナス繊維を束にしたのが原糸です。
「4本撚りは原糸が太いから根ズレに強い」というのが定説ですが、原子が太いのはイザナス繊維の本数が多いから。
繊維の太さは8本撚りと変わらないので、根ズレに対する強さは変わりません。
つまり、4本撚りは原子が太いから根ズレに強いと言うのは間違いだと分かると思います。
その辺の誤解も、最後まで読んでいただければ解決します。
ちなみに、イザナスとダイニーマは同じ製品です。
東洋紡がダイニーマの世界展開する際に、商標を変更しました。
PEラインを編めるメーカーは3社だけ
東洋紡が製造するイザナスですが、このイザナスの束を編んで、PEラインを製造できる国内メーカーは以下の3メーカーのみです。
- (株)ワイ・ジー・ケー
- (株)ゴーセン
- ユニプラス(株)
大手釣り具メーカーには、高品質なPEラインを編む技術はありません。
様々なメーカーから販売されるPEラインですが、ほぼ間違いなく上記メーカーが製造しています。
他のメーカーから発売されているPEラインは、委託製造品です。
中でも、YGKは世界トップシェアを誇ります。
繊維の質はどのメーカーも同等なので、メーカー毎の特徴は編み方で発揮されるのです。
何本撚りが適切?
PEラインを選ぶ上で一番最初に悩むのはここだと思います。
釣り業界には、4本撚り<8本撚り<12本撚りの順で原糸の本数が多いほど、品質が良いというのが定説です。
PEラインの品質の良し悪しは原糸の本数で決まりますか?
いやいや、編み方が最重要です。
原料のポリエチレン繊維の品質は、各社同じです。
であれば、編み方で品質の差が出る。
スプールにpeラインを巻いてみて、同じ号数なのに細く感じたり、太く感じたりしたことはありませんか?
原糸を編むときの絶妙なテンションの違いで、仕上がりが変わるのがPEライン。
メーカー毎の性格がしっかり出ます。
しかし、不思議ですよね?
号数で標準直径が決まってるはずなのに、編み方で太さが変わって良いの?
その理由は、独特な規格設定方法にあるのです。
PEラインの独特な規格設定
ナイロンやフロロカーボンと同じように、号数表記されるPEラインですが、PEラインの号数は太さではなく重さで決まります。
単位はデニール。
1デニール=9,000メートルで1グラムになる繊維の集合体
日本釣り用品工業会で1号のPEラインは200デニールと規格化されています。
つまり、9.000mで200gなら、太さは関係ないということ。
メーカー毎に、太さが微妙に異なる理由は、これです。
同じデニール数でも原子の編み方で太さが変わります。
太いのは品質が悪いからではありません。
編み方に工夫があるからです。
4本撚りと8本撚り
デニール数が同じであれば、繊維の本数は同じになります。
原糸が太かろうと細かろうと、繊維の本数、太さは同じなのです。
つまり、4本撚りも8本撚りも引っ張り強度は同等になるはず。
ですが、4本撚りと8本撚りでは、明らかに引っ張り強度の差があります。
この差は、編み方にあると私は思います。予想
繊維の束を編み込むとき、熱を与えながら強めにテンションをかけて編み込むと、根ズレに強いラインが編めますが、引っ張り強度は落ちてしまう。
この特徴がそのまま4本撚り、8本撚りの特徴と重なっている気がしてなりません。
詳しい方、教えて下さい。
4本撚りと8本撚りのメリット・デメリット
それぞれ長所と短所を持ちます。
4本撚りの特徴はなんといっても低価格!
頻繁に交換するメインラインにおいて、安いは正義です。
しかし、安いからと言って品質が悪い訳ではない。
むしろ、良いくらいあります。
悪い点は糸鳴きですね。うるさい。
僕は気になりませんが、気になる方は気になる様子。
表示されているほどの引っ張り強度の差も感じられないので、他は特にデメリットは見受けられません。
私は、4本撚りが好きです。
次に8本撚りの特徴です。
8本撚りの特徴はしなやかさになります。
12本撚りなんかは特に実感できますね。
本当に、しなやかで滑らかで柔らかい。
このしなやかさは、投げ感に影響します。
ガイド抜けが良いためか、飛距離が少し伸びる気がする。
「原子が細いと、断面が真円に近くなり、ガイドとの接触抵抗が少なくなった結果、飛距離が伸びる。」という理屈らしい
これ、多分関係ありません。以下の断面イメージ図を参照ください。
よく見る断面イメージ図ですが、繊維の集合体である原糸が形状を保ち続けるのは不可能だと思いませんか?
実際には原糸は変形しつつ、以下のような形になっているはずです。
これを見ると、どちらも真円に近いことが確認できたと思うので「接触抵抗が低くなって飛距離が伸びる」は間違いだといえます。
接触抵抗は断面の接触面積よりも、ラインのしなやかさや、滑らかさの影響が大きい。
もっと言えば、コーティングの質の影響が大。
原糸が太くても細くても、出来上がったPEラインの繊維の数は同じ200デニールです。
であれば、接触面積も同じではないでしょうか?
これも、詳しい人、教えてください。
引っ張り強度
4本撚りと8本撚りで違いが明確なのは、引っ張り強度です。
繊維の質、本数が変わらなくても、引っ張り強度の指標のlb数で差が出ます。
原子の本数で変わる引っ張り強度
なぜこのような現象が起こるのでしょう?
完全に個人的な私見ですが、答えは編み方にあります。
原糸が太いほど、硬く編める。
結果、引っ張り強度は弱くなるが、根ズレに強い硬いラインに仕上がる。
逆に
原糸が細いほど、緩く編む。
結果、根ズレには弱くなるが、引っ張り強度が高くて、柔らかいラインが仕上がる。
完全に、私見なので、参考程度に。
詳しい人、、、
ちなみに、ポリエチレンの融点は、約150度です。
リーダーを火で炙ってコブを作った時の強度劣化は凄まじいので、気をつけましょう。
まとめ
東洋紡から発売される超高分子ポリエチレン
商品名 イザナス
高品質なPEラインを製造するのに欠かせない原料です。
この極細繊維の束を原糸とし、編み込むことで出来上がるPEライン。
そのPEラインはデニール数(重さ)で管理されます。
原料を知り、仕組みを知れば、世の中に散見する情報の信頼度が測れると思います。
何を選ぶにしても、本質を知れば、根拠が生まれる。
日本には素晴らしいPEラインがたくさんあります。
何を根拠に、何を重視して、何を選ぶか
本質を知れば、自ずと答えが出るはず。